2010年11月9日火曜日

イノチが巡る森

時計の針を1時間戻し、今日から冬時間がはじまった。

ハクトウワシが戻ってきた。

川でアザラシを見かけるようになった。

それは、鮭が森に戻ってきたサイン。

P1000352


P1000355


森の入り口で、一匹の鮭を見つけた。
まさに、風前のともしび、命が絶える直前だった。

鮭は最後の力をふりしぼって水面に顔を出し、また沈むを繰り返す。
やがて、ともしびは静かに消えた。

わたしとしほちゃんは、ろうそくの煙のようなイノチの残像を、
しばらくのあいだみつめていた。

川から海へ、長い旅のあとの静かな死。

あーもう、ぬけがらになっちゃったんだ。

そこへ、かもめが音もなく飛んできた。
そのうち、ぬけがらは、カタチすら無くなるんだろう。

毎年、当たり前のように巡りゆくサイクル。
P1000362


なんで鮭は川で産まれて、わざわざ海にいかないといけないのかな?
ずっと、川にいたっていいのにね。

誰かがいってたよ。
天から雨がふるでしょう。
山は雨に育てられ、その一部が川となる。
川が海へ流れ込む。

鮭は、山のエッセンスを海へと運び、今度は海のエッセンスを川へと運ぶ。

鮭は、山と海を繋いでいるんだよ。
自然界は、ぜんぶ繋がっているんだよ。

P1000367


しぃぃぃ。
とても敏感で、神聖な時だから、静かに見守ってあげよう。
ひとつのイノチがおわり はじまるところ。

水がとても澄んでいて、冷たい。
雨の粒が、水面に完璧な円を描く。
じっとしていると手がかじかんでくる。
ピリッとする寒さに心が洗われる。

しぃぃぃ。
よくみてごらん。
熊もやってきているよ。
アタマのない鮭が地面にころがっている。
樹々は、枝を落とし、秋の終わりを告げている。
P1000363


イノチのともしび、まもなく消える。

0 件のコメント:

コメントを投稿